この記事は、対話型AIサービスであるChatGPTの基本的な使い方から、知っておくと便利な最新の機能までを、AI初心者の方にも分かりやすく解説することを目的としています。このAIを効果的に活用することで、情報収集、学習、クリエイティブな作業など、様々な場面で作業効率を向上させることができます。
ChatGPTを始めるには
ChatGPTは、ウェブ検索エンジンで「ChatGPT」と検索することでアクセスできます。利用には、料金がかからない無料プランと、より高度な機能が使える有料のプラスプランがあります。初めて利用する方は、まずは新規登録を行いアカウントを作成します。すでにアカウントを持っている場合は、ログインして使用を開始できます。
利用を開始したら、画面中央にあるチャット入力欄に、AIに対する指示を入力します。この指示は「プロンプト」と呼ばれ、AIが応答する内容の精度に大きく影響します。良い回答を得るためには、質問や依頼は具体的かつ明確に行うことが大切です。
音声での入力と対話機能
文字入力だけでなく、ChatGPTは音声でのやり取りもサポートしています。
チャット入力欄の右側にあるマイクのアイコンを使えば、文字を打つ代わりに音声でプロンプトを直接入力することができます。
また、右側の音声モードアイコンを利用すると、AIとまるで人間と話すかのように会話が可能です。例えば、会社の新しい部署への配属面接の練習をしたり、自分の肌質に合う化粧品について専門的なアドバイスを求めるなど、様々なシチュエーションで活用できます。相手を探す手間なく、好きなタイミングで練習や相談ができるため非常に便利です。
履歴を残さずに利用する一時チャット
一時チャット機能を使うと、そのチャットのやり取りが履歴に残らないように設定できます。これにより、ChatGPTに学習させたくない内容や、外部に知られたくない機密性の高い情報を扱う際に、プライバシーやセキュリティを守ることができます。また、質問の履歴が左側のチャット一覧に残り過ぎて煩雑になるのを避けたい時にも役立ちます。
AIモデルの使い分け
ChatGPTには「モデル」と呼ばれる、AIの思考方法や得意分野が異なるバージョンが存在します。
例えば、「今日の東京の天気は?」のように、すぐにパッと答えが欲しい時には「インスタント」モデルが適しています。一方、複雑な物理学の問題を途中式を含めて解くといった深く考える必要がある質問には、「シンキング」モデルが向いています。
通常は、AIが質問内容に応じて最適なモデルを自動で選んでくれる「オート」設定にしておけば問題ありません。以前のモデルであるGPT-4を使いたい場合は、「レガシーモデル」を選択することもできます。
高度な情報収集を可能にするディープリサーチ
ディープリサーチ機能は、Web上にある多くのサイトから情報を集め、AIが分析し、構造的にまとめてくれる機能です。
単に質問するだけでなく、新しいサービスを立ち上げるための市場調査資料や、大学の課題で提出する詳細なレポートを作成したいなど、情報を深く掘り下げて調査したい時に有効です。AIに依頼するだけで、効率的に資料作成を進めることができます。作成されたレポートは、PDFやドキュメント形式でダウンロードしたり、リンクで共有したりすることが可能です。
これと似た機能に「Web検索」がありますが、Web検索はWebから最新の情報を取得し、それを簡単に要約してくれる機能です。ディープリサーチが深く分析・要約するのに対し、Web検索は簡単な概要把握に適しています。
画像の作成機能
この機能を使えば、Web広告のバナーデザイン、プレゼンテーションに挿入する画像、SNS用のサムネイルなどを、AIへの指示だけで簡単に作成できます。
例えば、新しいお菓子のパッケージデザインのたたき台を依頼し、そのデザインの方向性やスタイル(サイバーパンクや塗り絵のような画風など)を指定して生成することができます。出来上がった画像をデザインの土台として活用できます。
企画書やコードを作成するキャンバス機能
キャンバス機能は、ウェブサイト作成に必要なHTMLコードや、プレゼン資料、企画書の構成案などをリアルタイムで作成してくれる機能です。
例えば、秋の新しいイベントの企画書の構成案作成を依頼すると、AIが即座に構成を作成します。構成案は作成後も編集可能で、画面上でテキストを変更したり、構成の順番を変えたりできるほか、AIにチャットで指示を出すことで編集を任せることもできます。また、文章の長さや分かりやすさを調整したり、絵文字を追加して表現を豊かにするなどの調整も可能です。
あらゆる学びをサポート
この機能は、学習や勉強の補助をAIがしてくれる機能です。学生の宿題の手伝いだけでなく、社会人の専門的な学習にも活用できます。
例えば、医療業界で働く人のための専門用語の暗記問題を作成してもらったり、海外進出のための語学試験(TOEFLなど)の問題を生成してもらうことができます。通勤時間や家事の合間など、隙間時間を活用してAIと対話しながら効率的に学習を進めるのに役立ちます。
外部のアプリケーションと連携する
「情報源を追加する」機能では、ChatGPTと外部のアプリケーションを連携させることができます。現在、Gmail、Googleドライブ、カレンダーなどのほか、デザインツールであるFigmaやCanvaとも連携が可能です。
例えば、デザインツールのFigmaと連携し、新しいサービスの利用手順を視覚的に分かりやすい図(ワークフロー)として作成してもらうことができます。このように作業手順や複雑なプロセスを図解化することで、理解を深めるのに役立ちます。
AIが自動で実行するエージェントモード
エージェントモードは、AIエージェントとして、ユーザーの代わりに情報収集だけでなく実行まで自動で行ってくれる機能です。
例えば、週末の家族旅行のプランを予算や宿泊日数を指定して作成し、その結果をドキュメントにまとめてカレンダーにも追加しておく、といった一連の作業をAIに任せることができます。ただし、この機能は有料プランでのみ利用可能で、回数制限がある点に注意が必要です。
効率的な利用を助ける追加機能
プロジェクト機能
これは、特定のテーマや作業(例:オンラインマガジンの記事作成)に関連するチャットをまとめて一元管理できる機能です。プロジェクト内でのみメモリ(過去のやり取りを覚える機能)を参照させる設定もできるため、過去に作成した記事のファイルを参照させ、文章のスタイルを一貫させるといった使い方が可能です。
メモリ機能とカスタム指示
「カスタム指示」では、AIの回答の仕方に関するルールをあらかじめ設定できます。例えば、**「常に丁寧語を使いなさい」や「専門的な内容はできるだけ簡単な言葉で説明しなさい」**といった指示を書き込むことで、全ての回答にそのルールが適用されます。
「メモリ機能」を有効にすると、AIは過去のやり取りを記憶し、それを踏まえて応答します。例えば、ユーザーが以前作成したマーケティング文書のトーンを覚えていれば、全く別の内容の相談であっても、そのトーンを考慮した回答をしてくれます。必要に応じてこの機能をオフにすることもできます。
GPTs(カスタムGPT)
GPTsは、役割や指示をあらかじめ与えて、特定の用途に特化させたカスタムAIのことです。例えば、専門的な技術文書を一般向けに要約するGPTや、ビジネスプレゼン資料の構成案を自動生成するGPTなど、自分専用の便利なツールを作成することができます。
これらの機能を活用することで、私たちは日々のタスクや学習を効率的に進めることができるようになり、AIの力を最大限に引き出すことが可能になります。
